寺院の役割


 寺院はかつて地域社会の戸籍をあずかり檀家制度を確立させ。単に仏事だけではなく、教育、文化、医療の中心的存在であった。特に日本の教育の初歩的制度を確立した役割は軽視できない。寺院を中心として現在の学校教育がなされていたのであり、寺子屋がそうであった。
 徳川幕府が外敵からわが国を守り、国内を統一する必要上、寛永十六年(一六三九)に鎖国令をしき宗旨人別帳を作り、各人が所属する宗派や寺院を決め、現在の戸籍謄本に匹敵する寺請証文を発行させたのが檀家制度のはじまりである。
 こうみてくると、近世の日本の歴史は寺院とまことに深いかかわりをもっている。