遺物分け


 形見分けという風習は地方によって異なるが、普通は葬儀の翌日か、七七日、忌、追善供養とかに行うのが通例である、これは故人の持ち物を親族や縁の深い者に分けることであるが、もともとは仏陀が生前身につけておられた衣を分けられたことに端を発する。この風習は遺物を頂いた者が、その衣をみるたぴに故人を思い出し、諸行無常を確知し、現在健康に生きている事を喜び、また、欲にとらわれず慈しみの心をもって人に接し善根を積むように願われたものである。
 形見分けにはこのような意味があるので、故人の持ち物を我れさきに求めてはたらないし、ましてや善し悪しを云々してもならない。形見分けばかりでなく遺産の分割においてはしばしば醜い争いが見らLれるが、これらも含めて極カ醜いことはさけたいものである。