廻向とは


 廻向とは廻転趣向という意味である。これは供物を供えたり読経をするその功徳を廻らし転じて亡き霊は無諭、拝む人自身にも仏果を廻らして良い方向に向けることをいうのである。
 「大乗義疏」という仏典では善提廻向、衆生廻向、実際廻向の三つをあげている。菩提廻向とは悟りの心を求めることをいい、これが原因となって徳を積むことをいう。また、衆生廻向とは一切人間平等の観念を持ちすべての人を愛するために、その功徳が及ぶことを願うことである。三つめの実際廻向とは現世においてはいろいろの迷いごとがあるが、真実の知恵と真理を会得し素暗らしい人間にならんとすることである。