北枕(枕なおし)


 死装束をつけ終わった遺体は、北を枕とし寝かせる。これは釈尊が亡くなられた時、頭を北に、顔を西に向けられていた姿をかたちどったもので、これを「頭北面西」といつて経文にも書かれている。北枕で寝るのを忌み嫌うのもここらに理由がある。
 合掌させ、手は胸のあたりに念珠を持たせ、顔は白布で覆う.清潔な敷布団、薄い掛布団を用意する。この場合純白を選ぶ。また刀を布団の上または遺体の胸あたりに置くわけだがこれは武士の風習の名残りと魔除けの意味がある。現在では小刀、剃刀。はさみを用いている。
 葬儀社が用意してくれる袋に入れた木刀を用いる時もある。これは残された遺族が悲しみのあまり、この刃物で命を絶ったりする事故を防ぐ意味があるといわれている。なお刃は反対側に向けるのが普通である。遺体を北枕にすることを枕なおしといつている。