死装束


 湯灌が終わったら経帷子を着せる。この経帷子は故人とゆかりの深い女性が集まつて縫い、それもできるだけ多くの人の手で縫いあげることが習慣とされている.縫糸の尻をとめず、縫い終わったところの糸も結ばぬようにするのが常である。しかしこれは現在ではあまり必要でなく、故人が生前好んで着ていた着物を着せ、葬儀社が用意した紙製の経椎子をかける程度である。
 多くの人が西国三十三ヵ所や近畿三十六不動尊霊場巡りをし、白木縞の着物に法印をもらつているのをよく見かけるが、この白木綿の着勧が死出の旅に着用するものである.装束は左前に合わせて着せ、頭には三角布、手足には脚半、手甲、白足袋とわら草履を履かせる。そして別に履き替え用の草履も用意する。肩には頭陀袋をかけ、手には念珠をもたせる。六文銭を用意してこれを持たせるが、これは仏教における六道を輪廻するときの路銀という意味が含まれているが、普通これを三途の川を渡る時の渡し賃としている。現在では、手に念珠を持たせ、少額のお金または六文銭と書いたものを持たせる程度である。