火葬後のこと


 出棺のあと、まず手をつけなければならないことは後片づけである。そLて遺骨の帰るのを待つのである。
 火葬場から遺骨が帰ってくると、同行の遺族は玄関先に用意された桶の水で手を洗い、全身に塩をふって清めてから家に入る。洗身浄身である。ところによっては、玄関先に塩がつみあげられていて、それを土足で踏んで入ることで清めたことにしている。告別式で会葬の礼状の封筒にそえて塩袋を渡すところもある。遺骨は片づけの終わった家に迎えられ、小机の上に安置される.写典、位牌とともに線香、ろうそくをたておまつりする。
 その夜は葬儀に際して世話になった人を中心に宴をもつ。これを通常、精進落としといっている。葬儀が終わるまで生ぐさを断っていたものを、元に戻すということである.そして世話になった人ヘのお礼の接待でもある。僧侶、世話役(葬儀委員長他)、火葬場ヘ同行した人、近親者、故人の親友などが同席する。宴席といっても乱れない程度にし、参列者も早めに引き上げることを常識としている。