火葬場にて


 火葬場で気をつけなくてはいけないことは、時間に遅れないことである。予定の時間に遅れると後まわしにされ、長時間待たされることになる。
 火葬場に霊柩車が到着すると、一般に僧侶の読経、全員の焼香、最後のお別れがある。火葬場によって違うが、カマドの前で儀式を行う場合と別に斉場がある場合とがある。これが終わると、棺はカマドに納められる。親族にとって耐えがたい悲しい時である。
 お骨になるには、普通約一時間かかる。控室でまち、お骨上げとなる。火葬とお骨上げをその日に行う時と、お骨上げを翌日に行う場合とがある。お骨は箸でひろいあげるが、この時箸から箸ヘ受け渡すしきたりがある。このことを渡し箸というが、日ごろ食べ物を箸から箸ヘと渡すのを嫌うのは、このお骨上げに起因している。分骨したい時には、あらかじめ申し出ておく必要がある。そうすれば二つの壷を用意してくれる。