通夜


 むかしは死亡してから葬儀を出すまで、幾日も通夜したものであるが、近年は葬式を出す前夜にするのが一般的である.親類や知人など故人とごく親しい関係にあるものが一夜を過ごし、故人の霊を慰め、お守りするのが通夜の意味である。
 通夜は僧侶の枕経が終わったあと行われるが、時刻は夕食の終わった七、八時頃が適当といえる。僧侶の読経に続いて、近隣の人や観音講などによる読経やご詠歌が唱和される。この風習は地方によつて異なるるが、通常一般の弔問客は通夜の読経が終わり次第退席すればよい。そのきっかけは遺族か世話人が作ればよい。遺族や世話人のあいさつがひとつのくぎりになる。一般の弔問客が帰ったあとで、親しい人の問で夜食や酒宴が行われるのが常である。通夜は遺族にとって精神的、肉体的に非常に疲れるものだから、周囲の人はいたわりの配慮がほしい。全員がいくらかでも睡眠がとれるよう交替で寝起きするようにしたい。故人が病人であったような場合、看護疲れのうえに通夜の疲労、そして心労が重なったために、故人の後を追っ 
たという話がよくある。
 また、通夜に火事を出すとい二重の悲劇も少なくない。これは近親者が疲労のため熟睡するためであり、また勝手のわからない人が表の中を取り仕切ることにも原因がある。ガスや火の不始末はこのような時に起きるものである。責任ある立場の者は、特に火の気には気をつけたいものである。