入道場


 道場は神聖な場所である。五感を集中せしめる意味から、この入道場に至るまで、また入道場後も絶対に無言であるということが大切である。人間は心がはしっていると、神経の集中力を失う。だから入道場しても無言のまま、静かに座につくことである。
 ついたならば、それがお堂であれば本尊に向かって、本革もないお座敷であれば廟堂に向かって、一人で座禅を組むときは本尊があると心で思いながら、まず礼を尽くすことである。すなわち三礼である。この場合の礼は上品の礼とする。上品の礼とは、五体投地すなわち両肘、両陣、額を大地につけて拝む礼をいう。