霊場めぐり


 霊場めぐりというと老人専用と考えがちであるが、最近は若い世代にも浸透してきているそこで主な霊場を掲げてみる。まず第一は西国三十三カ所である。伝説によれぱ八世紀のはじめ、大和長谷寺の徳道上人によつて始められたといわれているが、確かなことは天台寺門、すなわち三井寺系の修験者として知られる覚注の三十三カ所巡礼をもってその成立をみるとされている。
 次に坂東三十三カ所、秩父三十四カ所、四国八十八力所があげられる。巡拝にあたって必要なものをあげてみよう。霊場巡拝の動機はさまざまであるが、この巡拝によって功徳功験を得た人は数知れない。故・佐藤元総理も奇病が巡礼によって快癒したといわれている。霊場めぐりは、信仰によることは無論であるが、最近は一つのレクリエーションとして、あるいは朱印を集めるというひとつの目的をもって巡礼する人もある。長い道中、観世音菩薩や弘法大師の導きで修行させてもらうためには、金剛杖、すげ傘、袈裟、白衣、白足袋、数珠、経本、納札、納経帳、案内書などが必要である。巡拝の心得としては十善戒を固く守ることである。また酒を飲まず、同行者と口論をしないように慎しみ、多額の金銭を持たず、日のあるうちに早く宿に入り、夜中に宿を出ないなど、注意したいものである。各霊場では口を濯ぎ、手を洗ってから納経を頂戴しご本尊ヘ参拝する。このような作法を心得てお参りをしたいものである。なおこれら霊場めぐり以外に、近畿三十六不動尊霊場というのもある。この霊場めぐりは国分寺西口公教管長ならぴに古寺顕彰会下休場義治会長などの発願によって設定されたもので昭和五十四年に発足をみた。