不動明王

 庶民信仰の中でもっとも広く親しまれ信仰を集めているのはお不動さまである.
 お不動さんは多くの人に親しまれている反面、よくよくそのお姿を拝見して「こわい仏さんだな」という人が多い。たしかに目は怒りに満ち、牙をむき、右手に剣、左手に索をもち、燃えあがる火を背負って、いまにもおどりかからんばかりの形相である。しかしお不動
さんはこわい仏さんではなく、むしろ衆生を済度される仏さまである。
 右手の剣は三毒を切り払う知恵をあらわすとともに人間の種々の煩悩を切ることを意味し、左手の索は衆生が迷々の道に入らんとするとこれでもって縛って救うことを意味している。また背後の火焔は人間のもつ百八の煩悩を焼きつくして救済するところの、大慈悲の徳を表した
 ものである。-切の悪魔を降伏するものとして、いまでは広くその功徳を説き、病魔退散、除災招福、交通安全などのご利益があるとされている。
 だいたい明王というのは、諸仏や菩薩を援助して、仏法を守護する仏さまで、仮に矛にそういうお姿であらわれてきたものと考えられる。不動明王の場合は大日如来の化身といわれている。
 造像仏師は本邦随一の仏師・五島正a氏で、開眼法要以後かずかずの、不思議な功徳を多くの人が得ている。五島正a師自身も、高齢のために不調であった健康が、念ずることによってたちまち回復したという。
 また開眼法要では豪雨にもかかわらず、遷座の時のみこの一帯急に雨がやみ、光がさすといった、不思議な現象も多く現れている。特に、その黄金のお不動きんを造像するための原型である像がつくられ、これを写真にとったところ、背後にいなずま状の科学的にはわりきれない光背が現れ、大きな話題を呼んだものである。
 この金色不動尊は二十年に一度ご開帳され、第一回のご開帳は二十一世紀一月元旦である。